浪速風

民族解放ではなかったベトナム戦争

1975年4月30日は、15年に及んだベトナム戦争が終結した日である。当時、一部の報道や左派の知識人は「米国という巨象がベトナムというアリを踏みつぶしている」との比喩を好んで使い、ベトナム戦争は民族解放闘争とされたが、そうではなかった。

▶なぜなら解放された南ベトナムから数百万人ものボートピープルが脱出した説明がつかない。解放戦線は北ベトナム軍の偽装で、その背後に中国、ソ連がいた。米国は共産主義の拡大を恐れた。いわば代理戦争だった。司馬遼太郎さんは73年にベトナムを旅して、その本質を見抜いた。「人間の集団について」(中公文庫)に書く。

▶「自分で作った兵器で戦っているかぎりはかならずその戦争に終末期がくる。しかし、敵味方とも他国から、無料で際限もなく送られてくる兵器で戦ってきた」。司馬さんはそれを「敗けることさえできない機械的運動」と表現した。あれから40年。ベトナム戦争から何を学んだのか。