1本3万円の高級品もまとめ買い
一方、こんな光景も見られる。
「ここからここまで、全部くれ」
買っていくのは、同じ中国人観光客でも富裕層だ。
買っていくのは三徳包丁のほか、刺し身包丁や菜切り包丁、中華包丁、牛刀など一式。1本2万~3万円などザラで、お抱えの料理人などに使わせるために購入するという。
また、同売り場で最も高価な14万400円の包丁を、中国人客が今年1月に購入した。この包丁が売れたのは、欧州の有名ブランドの社長が買って以来、2本目だという。
これまで、セラミック製の包丁を中国人が大量買いしていた一方、こうした高級な包丁を買うのは、「すし文化」などに憧れた欧米からの観光客が多かった。たいていは、前日の夜などにすし店を訪れ、「カウンター越しに板前が持っていた包丁を見て、本格的な和包丁を求める」ケースが多いという。
今やそうした高級包丁の購入層の一翼も、中国人観光客が担いつつある。こうした富裕層は「中間層などが多い春節時期を避けて来日する人も多い」という。
同店の昨年10月から今年3月までの包丁売り場の売り上げは、前年同期比60%増に達した。外国人への販売は同約2・1倍となり、全体の半数を超えた。もちろん欧米人の客もいるものの、中国人の爆買いがこうした数字の急進を支えているのは間違いない。