健康の指針

食事コレステロールもう気にしなくていい? 「血中濃度と無関係」 厚労省は抑制目標値「撤廃」

血中濃度に影響なし

 これまで食事のコレステロールを制限すべきとしたのは、血中コレステロールに影響を与えると考えられていたからだ。このため、コレステロールを多く含む卵や鶏レバー、バター、エビ、イクラなどは悪者扱いされ、卵にいたっては「1日1個まで」という制限が常識のようにもなっている。しかし、日本脂質栄養学会の小林哲幸理事長は「さまざまな研究で、食事のコレステロールと血中濃度に因果関係がないことが明らかになってきた」と指摘する。

 血中コレステロールの7~8割は体内で作られ、食事の影響はもともと少ない。また、コレステロールの摂取量が多ければ体内で作る量が減らされ、逆に摂取量が少なければ体内でたくさん作られるというように、血液中の量を体がコントロールしていることが分かっている。

 米政府も2月、食事から摂取するコレステロールと血中コレステロールの間に明確な関連を示す証拠がないとして、今年改める食生活指針でコレステロールの摂取基準を撤廃する方針を出した。今後国民の意見を聞いた上で改訂される見込みだ。

 米国や英国では30年以上にわたって総脂肪と、バターなど動物性脂肪の多い飽和脂肪酸の摂取量の制限を基本とした食事指導が行われてきた。しかし、英国の医学雑誌に2月、「食事指導を実行してもしなくても心筋梗塞などによる死亡率は変わらない」とする研究結果が発表された。健康な人と脂質異常症の患者らを対象にした複数の研究を分析した質の高い研究で、血中コレステロールを減らすことを目的に行った従来の食事指導には根拠がないことを示した画期的な内容だ。

 ただ、日本動脈硬化学会は、脂質異常症の患者に対するコレステロールの摂取制限を今後も継続し、見直しは現段階では考えていないといい、5月1日に会見を行う予定でいる。

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