そうした中、実際の客足の滑り出しは果たしてどうだったのか。
同城では、最も混雑が予想されるゴールデンウィーク期間までの5月10日までは「安全対策集中期間」として混雑時の入場制限策を打ち出している。
ゲート前に行列ができる日は1日で1万5千人を上限に先着順で整理券を配り、混雑の緩和を図るものだが、実際に入場者が1万5千人を超えたのは、4月22日時点で4月5日に一度あったのみだ。
22年4月に大天守の工事が本格化する直前の時期には「見納め客」が行列を作り、1日2万人を超える日もあったことを考えれば、再オープン後の反応は案外落ち着いているといえなくもない。
姫路城管理事務所の春井浩和副所長は「正直、再オープン直後は整理券が早い時間でなくなってしまう日が続くかもしれないと思っていた。だが、ふたを開ければそれほどでもなかったのは意外だった」と明かす。ただ、工事前と違って観光客が城の訪問を急ぐ必要がない点や、平日でもコンスタントに6千~8千人の入場者があることから、年間では当初の予測通りの数になる手応えを感じているという。
「軍師官兵衛」でつなぐ
姫路市は工事のため大天守の登閣を禁止していた22年4月から今年3月までの約5年の間、観光客誘致の「つなぎ」の策に苦心してきた。
工事期間中は城の入場料を400円に下げた一方で、登閣できない間、観光客を引きつける目玉として23年3月から屋根や壁の補修の様子を間近で見学できる施設「天空の白鷺」を設置。昨年1月までの2年10カ月間で延べ184万3千人を集めた。