海外の世界文化遺産の入場料(大人)では、ヴェルサイユ宮殿(フランス)18ユーロ、パルテノン神殿(ギリシャ)12ユーロ、クフ王のピラミッド(エジプト)100ポンド、自由の女神像(米国)28ドル、ピサの斜塔(イタリア)18ユーロ、モン・サン=ミッシェル修道院(フランス)9ユーロ-と、日本円で1500円~3千円前後で、日本の城と比べるとやや高め。姫路城も将来、建物や周辺施設を維持管理していく上で「世界遺産を将来に継承する経費を広く入場者から負担していただこう」(市担当者)と考えた。
この値上げにより今後10年間で約30億円の増収が見込め、石垣の補修や城域内の植生管理に充てる市民の税負担を半減することができるといい、市の関係者は「姫路城と同年代に建てられ、維持管理の財源確保が必要な中で値上げに踏み切れなかったところも多くある。まず姫路が千円にしたことで料金を上げやすくなったのではないか」と指摘する。
「200万人超え」想定
そうした強気の価格設定も、姫路城の人気への自信の表れだ。姫路市は今年度の年間入場者数を「180万人以上」と見込み、200万人を超えることも想定している。
平成25年度に集計された全国の城の年間有料入場者数(全国城郭管理者協議会調べ)では、1位が首里城の約160万4千人、2位は元離宮二条城(京都市)158万7千人、3位は熊本城の約140万7千人。姫路市の見込み通りなら、入場者数でも姫路城は初めて全国トップに躍り出る可能性大となる。
姫路城で過去、入場者最多を記録したのは「昭和の大修理」終了後の昭和39年で174万人。2番目が今回の修理工事直前で大天守見学の駆け込み客が増えた平成21年度の約156万2千人(全国4位)。市は今後約3年は混雑が続くとして、来年度の入場者は約163万人、29年度は約134万人を予測している。