NHKやらせ指摘問題

敏腕記者の暴走 チェック機能も麻痺

NHKの番組「クローズアップ現代」についての調査報告の会見で頭を下げる 堂元光副会長(手前)ら=28日午後、東京都渋谷区のNHK放送センター(栗橋隆悦撮影)
NHKの番組「クローズアップ現代」についての調査報告の会見で頭を下げる 堂元光副会長(手前)ら=28日午後、東京都渋谷区のNHK放送センター(栗橋隆悦撮影)

 NHKの報道番組「クローズアップ現代」をめぐるやらせ疑惑で、NHKの調査委員会は28日、取材チームに「ルールの逸脱があった」とする調査報告書を公表した。「敏腕」と評価されていた大阪放送局の担当記者は、上司に取材経緯を偽ってまで見せ方にこだわっていた。「過剰演出」がほどこされた映像は編集幹部らによる試写でも「よく撮れている」と上々の評判だったという。

上司に虚偽報告

 やらせが指摘されたのは昨年5月に放送された「出家詐欺」の特集。番組では出家を斡旋(あっせん)するブローカーとしてまず男性A氏(50)が登場し、その手口を告白。事務所に多重債務者の男性B氏(53)が相談に訪れた後、立ち去るB氏を記者が追いかけて突撃インタビューする構成になっている。

 調査報告書によれば、記者は上司のデスクに「ブローカーへの取材を通じ、相談に来ている多重債務者も撮影できることになった」と報告。だが実際は、8年前からの知人だったB氏にブローカーとしてA氏を紹介してもらい、撮影場所もB氏が設定していた。

 こうした虚偽報告の理由について記者は「情報源秘匿のため」と釈明。調査委の外部委員は「記者の説明は理解困難」と突き放した。

ディレクターも了承

 当日の収録では、事務所にいるA氏と相談に訪れたB氏を、はす向かいのビルから窓越しに撮影。視聴者には「隠し撮り」にしか見えないが、その場には記者も同席していた。

 「お金の工面のところのやりとりがもうちょっと補足で聞きたい」

 A氏とB氏との会話に、裏側では記者が注文をつけていた。

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