ものづくりに魅せられて52年(上)

「勉強が苦手でトヨタ養成校に一か八かで受験。技を盗んで仕事を覚えた」トヨタ初の技能出身役員・河合満氏に聞く

 養成校を卒業し、トヨタに入社して配属されたのは鍛造部。本当にきつい、汚い大変な職場でしたが、ここまで続けてこられたのはものづくりのおもしろさがあったからです。真っ赤に焼いた鉄をハンマーでたたいて形にする。先輩たちがさりげなく作業を進める姿にほれ込んで、「おれもああいう物を作りたい」と思ったのが最初でした。

 今みたいに教えてもらうのではなく、「自分で仕事を覚えろ」と言われ、技を盗んで仕事を覚えました。おかげで、自分で覚えたことは決して忘れません。技能は自分で体感しながら覚えることが大事です。

 《トヨタの生産の基本となっている『トヨタ生産方式(TPS)』。柱は、機械が工程完了後に安全に停止し、異常を検知すれば自動的に止まることで人が複数の機械を受け持つことができる『自働化』と、注文のあった車を迅速に納車できるよう、すべての部品を少量ずつそろえておく『ジャスト・イン・タイム』だ。当時、TPSを確立した大野耐一氏から考え方を学んだ鈴村喜久男氏や張富士夫氏(現名誉会長)が現場でTPSの浸透に尽力していた》

 トヨタ生産方式とは呼んでいなかったと思いますが、「必要の時に必要なだけ作る」という考え方は教わっていました。ただ、今までの仕事とギャップがあったことも事実です。ある日、本社工場で仕事をしていたら鈴村さんに怒られました。