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海外受注の切り札「信頼性」を高める衛星プラットホーム『DS2000』の高品質

 99年にようやく初の海外向けとなる通信衛星を豪州から受注したものの、この時点では勢いがつくには至らなかった。しかし、そうした不利な状況も、DS2000の登場によって改善され始める。

 三菱電機はDS2000を開発すると、気象衛星機能も備えた運輸多目的衛星として2006年に打ち上げられた「ひまわり7号」などを受注。少しずつ成功事例を積み重ねていった。

 さらに公共向けでの実績が、商業衛星での受注を引き寄せていく。05年にはDS2000をベースに採用した初の商業衛星として、宇宙通信(現スカパーJSAT)から通信衛星「スーパーバードC2」を受注。08年にはシンガポールと台湾の共同会社から通信衛星「ST-2」を受注し、海外からの発注による製造を初めて請け負った。海外向けでは、さらにトルコの衛星通信事業者から2機受注したほか、カタール向けの衛星もこれから製造に取りかかる予定だ。

 このうちST-2は契約に定められた期日より39日も早く納め、顧客に高く評価された。スーパーバードC2も「(スカパーJSATが)保有する衛星で不具合が一番少なく、ピカイチだと先方の担当者からお墨付きをもらった」(関根部長)。

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