三菱電機の関根功治・宇宙システム第二部長は「さまざまな静止軌道ニーズに対応できる柔軟さがあり、特にソフトウエアで違いを出せる」と、DS2000の汎用(はんよう)性の高さや優位性をアピールする。
同社は1976年に打ち上げられた電離層観測衛星「うめ」で初めて人工衛星を受注。これまで50機以上を手がけ、90年代までは全て公共用だった。
しかし、近年は民間の宇宙利用が加速し、年に25機ほどの商業衛星が世界で打ち上げられるようになっている。仮に1機120億円とすると、市場規模は3000億円になる計算だ。
事業規模をさらに拡大して欧米勢と互角に戦うには、商業衛星分野への進出が不可欠となる。
商業用シェア獲得へ大型開発も視野
この分野への進出を目指した三菱電機は1990年に苦い経験をしている。衛星調達に関する日米政府の合意で、実用目的の人工衛星の受注は国際競争入札にかけられることになったからだ。欧米各国は自国の衛星を使っていたにもかかわらず、日本だけが市場開放を強いられ、政府系機関による実用衛星の受注を実績が豊富で価格競争力もある米国勢が独占。日本メーカーは市場から事実上締め出され、三菱電機もしばらく、本体よりも太陽電池パネルやアンテナといった搭載機器の輸出に力を注ぐことになった。