話の肖像画

歌手・岩崎宏美(3)「これが歌の力なんですね」

「スター誕生」の300回記念番組に出演(左から3番目) =昭和52年6月
「スター誕生」の300回記念番組に出演(左から3番目) =昭和52年6月

 〈テレビの「火曜サスペンス劇場」主題歌「聖母(マドンナ)たちのララバイ」(昭和57年)は130万枚を超えるヒットに。日本歌謡大賞も受賞した〉

 あの曲以降、ファン層ががらっと変わりました。それまでは同世代の方がほとんどだったんですが、ビジネスマンやお子さん、お年寄りから声をかけられるようになった。歌番組をごらんにならない方がドラマを見ながら岩崎宏美を知ったのでしょう。大阪で「ヤングタウン」というラジオ番組にレギュラー出演していたのですが、帰りの飛行機で、やたらと大人に声をかけられるようになりました。「今の火サスの歌好きです」「いつも応援してます」って。これが歌の力なんですね。

 昔は歌詞の意味が分からないまま歌っていました。「この都会(まち)は戦場だから」とか「傷を負った戦士」という歌詞があるけど、戦場のイメージが全くなかった。あの歌は出したとたんに売れてしまって、私が後からついていった感じでした。3年後、エジプトのギザでコンサートを開いたとき、現地の日本人がたくさん来てくれて「生きていくって戦場なんだな」ってなぜか初めて実感できました。みなさん「日本」という国を掲げて働いている方たちなんですね。企業戦士のための歌だったんです。

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