京都大発の化学薬品ベンチャー企業「フォワードサイエンスラボラトリ」(大分市)は22日、水に混ざった放射性物質のトリチウムを除去できる新材料を開発したと発表した。将来的に東京電力福島第1原発の汚染水問題で活用できる可能性もあるという。
同社の古屋仲(こやなか)秀樹代表らの研究チームは、特殊な結晶構造の酸化マンガンに水素イオンを吸収させた上でトリチウム汚染水に接触させると、トリチウムが分解されて結晶に吸収される現象を発見。この処理で汚染水のトリチウム濃度は約30%低下した。
従来、大量の水に混ざったトリチウムを常温で分離するのは困難だった。
また、酸化マンガンからトリチウムを分離することも容易で、吸収剤として再利用できる。同社は今後、さらに効果などの検証を進めるという。
古屋仲代表は「この技術を使えば、安価に効率よく常温で汚染水からトリチウムを除去できる。福島の汚染水問題の解決に貢献したい」と話している。