総務省関東総合通信局は20日、防災情報や地域情報をテレビや携帯電話などに向けて提供するエリア放送の予備免許を行方市に交付した。市は7月から一部地域で試験放送を開始し、今年度中には市内全世帯に拡大する予定。市内全世帯をカバーした自治体による放送は、関東地方では初めて。
行方市のエリア放送は、テレビ放送用の電波の中で、地域によって空きスペースとなっている周波数帯(ホワイトスペース)を活用した市内限定のサービス。
災害時に気象警報や避難勧告、避難所の開設情報などを放送するほか、普段は市政に関する情報や市内の病院の診察情報、デマンドタクシーの運行情報なども提供する。家庭にあるテレビで視聴できるほか、停電時には携帯電話やカーナビなどの携帯端末を利用して視聴できる。
市は、今回交付された予備免許で市内4カ所に放送用アンテナを設置し、7月から試験放送を開始。今年度中にアンテナをさらに36カ所設置して市内の全世帯をカバーできるようにする。また、試験放送の範囲拡大と並行して本免許を取得し、来年度から全世帯を対象にした放送を目指す。
行方市では、平成25年10月の台風で土砂災害が発生した際、防災行政無線の聞こえにくい地域が複数あることが発覚。また、航空自衛隊百里基地が近い同市玉造地区では、防音窓を設置している住宅が多いために防災行政無線が聞き取りにくく、市民への確実な情報伝達が課題となっていた。
20日に関東総合通信局(東京都千代田区)で、渡辺信一局長から予備免許の交付を受けた鈴木周也市長は、「今後は、全世帯をカバーできるインフラ整備を早期に行いたい」と話していた。