昼の「双蝶々曲輪(ふたつちょうちょうくるわ)日記・角力(すもう)場」は、坂東彌十郎(やじゅうろう)の濡髪(ぬれがみ)が敵役でない立派さで良い。獅童が強がりの放駒(はなれごま)と気弱な与五郎を巧(うま)く見せた。「勧進帳」は橋之助の弁慶、七之助の義経、勘九郎の富樫。夜の切りに「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」。橋之助の長兵衛と女房、お時の七之助の芝居に侠客(きょうかく)人生の因果が漂う。5月3日まで、東京・浅草に仮設の平成中村座。(劇評家 石井啓夫)
鑑賞眼
平成中村座・陽春大歌舞伎 所縁の俳優陣、随所に楽しさ
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