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一部が崩れた城門、ロバにまたがりほほ笑む中国人の少年、整然とした街頭の人波…。セピア色の数々の写真に、70年以上前の南京などの様子が克明に写し出されていた。
「日中戦争に従軍した父が持ち帰ったものです」
関西在住の元海寿祐(51)が説明する。父、寿一(よしかず)=平成2年に72歳で死去=は昭和14年春に出征した。写真の多くは裏に記された日付から、同年11月初旬に負傷して帰還する前に滞在した南京から持ち帰ったとみられる。
「南京城内ロータリー」と裏書きされた写真には、整然とした街角が多くの人でにぎわう様子が写っていた。「十月二十八日」と記された写真には、寝そべる水牛とほほ笑む3人の少年や、中国服を着た7人の若い娘が並んでポーズをとっている様子が写っている。いずれも穏やかな日常風景といったおもむきだ。
「父は南京で買い物するのが楽しかったと話していました。だから南京事件はあり得ないとも」
写真を見つめ、元海は語る。
「写っている人たちの表情を見ても、父が言うようにこの2年前に大虐殺があったなんて、とても考えられない」
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「日本軍が30万人を虐殺した」と中国側が主張する南京事件。戦後の東京裁判判決では数々の残虐行為があったと認定された。
「日本軍は南京占領直後から1カ月で2万の強姦(ごうかん)事件を起こし、6週間で20万人を虐殺し、暴行や略奪の限りを尽くした」「兵役年齢の男性約2万人を、機関銃と銃剣で殺害した」