スポーツ異聞

「ブームは一瞬のうちにくる」決死のダイブから25年、「ブル中野」が語る「勝負の相手は目の前の敵じゃない。リングを囲む客です」

【スポーツ異聞】「ブームは一瞬のうちにくる」決死のダイブから25年、「ブル中野」が語る「勝負の相手は目の前の敵じゃない。リングを囲む客です」
【スポーツ異聞】「ブームは一瞬のうちにくる」決死のダイブから25年、「ブル中野」が語る「勝負の相手は目の前の敵じゃない。リングを囲む客です」
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 1980年代から90年代にかけて、女子プロレスブームを支えたブル中野。アジャコングとともに悪役としてリングで暴れまくり、中でも4メートル超の金網からリングに飛び降りる「金網ギロチン」は「女子プロレス史上、最高の瞬間」との評価がある。決死のダイブから25年が過ぎ、女子プロレスの一大旋風は去ったが、時代は移り変わり、いま「プ女子」(プロレス女子)と呼ばれる20代、30代の女子がプロレスにはまっている。かつて熱狂的なファンからブル様と慕われたヒールは、「時代」とともにある女子プロレスに何を思い、期待しているのか。

悪役としてリングに生きる

 本名・中野恵子。少女時代にアントニオ猪木にあこがれ、中学1年で全日本女子プロレスのオーディションに合格。中学卒業後、本名でデビュー。のちに「ブル中野」のリングネームでダンプ松本率いる「極悪同盟」のヒール役として脚光を浴びた。当初、悪役になることに抵抗はあったが、「自分の真価が発揮できるのはリングの上、しかも悪役でしかない」。覚悟を決めてからは、それまでの迷いは完全に消えたという。

 「いま思い返すと、異次元の世界で繰り広げられる真剣勝負の連続だった。プロレスをショーと思ったことは一度もない。金網から飛び降りる瞬間、死ぬかもしれないと思う半面、不思議と恐怖心はなかった。もう一度やれと言われてもできないが、あの頃はファンが何を求めているのかを第一に考えた。相手は目の前の敵ではなく、リングを囲む客と勝負していた」