故郷で撮影「凱旋上映」 自主映画「蒼のざらざら」監督・脚本 千葉・佐倉市出身の上村奈帆さん(26) - 産経ニュース

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故郷で撮影「凱旋上映」 自主映画「蒼のざらざら」監督・脚本 千葉・佐倉市出身の上村奈帆さん(26)

 4月、夢を目標に新生活を始めている人も多い。佐倉市で撮影された自主制作映画「蒼(あお)のざらざら」の監督・脚本を担当した同市出身の上村(かみむら)奈帆さん(26)は、幼い頃から抱いていた夢に近づきつつある注目の若手脚本家だ。地元や専門学校の友人たちと作り上げたこの作品は、先月には佐倉市立美術館のイベントでも上映された。

 難しい人間関係に悩む思春期の女子生徒をヒロインとして描いた。大人になって現実の厳しさにうちひしがれそうになるが、過去の軋轢を乗り越えて再生する-。共感を呼ぶテーマに、美術館での上映が終わると大きな拍手が送られた。

 自らが執筆した脚本はヒット映画「のぼうの城」(平成24年公開)の原作も受賞した「城戸賞」で最終選考まで残った。長編としては初監督となり、東京、長野での新人映画祭でも上映された。

 上村さんは佐倉市内の小中学校を卒業。「気がついたら思っていることをノートに書いていました」と当時を振り返る。中学1年のとき学校に提出した「将来の夢」はすでに脚本家。高校卒業後は映画の専門学校に進んだ。

 「蒼のざらざら」の脚本の初稿は23年。中高時代に所属した陸上部の経験が創作活動に生きた。「他の選手を『ファイト』と応援していました。あの応援があるから厳しい練習にも耐えられる。愛だなって思ったんです」。これがクライマックスのシーンに反映された。

 靴店でアルバイトして貯金するなどの準備を経て25年8月に撮影開始。中学時代に利用していた岩名陸上競技場やふるさと広場など、佐倉の多くの場所を撮影場所に使った。近所の幼なじみの母親も出演。中学教諭をしている陸上部時代の友人から中学校の制服を借りるなど、佐倉ゆかりの人の協力もたくさん得た。

 美術館での上映会には、中学時代の恩師や友人らも駆けつけた。「お世話になった人に見てもらえてうれしい」と凱旋上映に満面の笑みを浮かべた。

 現在は脚本家の事務所に入り、インターネット上で公開されている朗読劇などを執筆している。「脚本を書き続け、監督もまたやりたい」。佐倉から巣立った脚本家の卵は今日も大好きな仕事に取り組む。(山本浩輔)