経済裏読み

「時速1200キロ」の衝撃、米「チューブ列車」構想が始動、中国は「4000キロ」で開発狙う

 実は日本でもチューブ列車の開発構想があった。開発にあたったのは名城大の小沢久之丞教授(のちに学長に就任)で、昭和34(1959)年から、愛知県内の名城大キャンパスなどで、ロケットエンジンを積んだ「ロケット列車」をチューブ内で走らせる実験に取り組んだ。

 当時を振り返る名城大のホームページの記事によると、列車は時速2535キロという驚異的なスピードを記録したが、衝撃波やパイプ壁への衝突を回避する技術などに課題を残し実験は終了したという。ただ、夢の音速列車にあこがれて入学する学生も多く、「開学間もない名城大のブランド力アップに貢献した」としている。昨年のノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏は名城大の終身教授だ。

中国もライバル

 マスク氏のチューブ列車構想も、実現に向けて課題は少なくない。

 最大のネックは、60億ドル(約5800億円)規模とみられる総事業費。手広く事業を手がけるマスク氏といえども、連邦政府やカリフォルニア州政府の援助を受けずに捻出するのは容易ではなさそうだ。ほかにも、チューブの強度や、乗客にかかる重力加速度、減速時の安全確保など、解決すべき問題がある。米誌ワイヤード(電子版)によると、マスク氏はテスラなどの経営で忙しく、別の開発チームに関与するかたちを考えているという。

 さらに、マスク氏がチューブ列車の計画を進めるカリフォルニア州ではすでに、2030年ごろに開通を目指す高速鉄道(サンフランシスコ-アナハイム間)の計画が州政府の主導で進んでいる。それでも、マスク氏は、州政府の高速鉄道計画の総事業費(約680億ドル)に比べればチューブ列車はコストが安いとして、計画を変更するよう訴えている。