経済裏読み

「時速1200キロ」の衝撃、米「チューブ列車」構想が始動、中国は「4000キロ」で開発狙う

 マスク氏によれば、順調に開発が進めば7~10年で実用化でき、カリフォルニア州の2大都市であるロサンゼルスとサンフランシスコの約600キロを、飛行機の半分の所要時間の約35分で結べるという。これを東京-大阪間に置き換えれば約20分で、文字通りの弾丸列車だ。気になる運賃だが、片道約20ドルを想定しているというから既存の高速鉄道より割安で、その点でも市場の驚きを誘った。

 チューブの内部を移動するということもあり、マスク氏は「既存の交通手段と比べ、安全で速い」と強調。また、電力はソーラーパネルから供給するが、消費電力は意外に少なくてすむ可能性もあり、テスラが手がけるEV同様、地球環境にも優しい交通システムをアピールしたいようだ。

日本でも実験

 初めて聞く人には奇想天外にも思えるチューブ列車だが、構想や開発の歴史は意外に古い。

 欧州では19世紀の頃からチューブ列車を思わせる交通システムを題材にした小説が描かれ、後に映画にもなっている。

 英国では19世紀半ばには、真空に近いチューブを高速で移動する列車の実験が行われた記録があるが、技術やコストの問題で失敗に終わったとされる。

 ロケット開発で有名な米国の技術者のゴダードも、学生時代の1910年代に、チューブ内を超高速のリニアモーターカーが走る交通システムを提唱。1970年代になると、米ランド研究所の物理学者、ロバート・F・ソルターがチューブ列車の論文を発表して注目され、現在のチューブ列車の研究開発にも大きな影響を与えたとされる。