自動車盗難防止対策の強化に向け、政府が国内向けの新車について、盗難防止装置「イモビライザー」の装着を義務づける法制化を検討していることが14日、分かった。法令で装着が義務づけられている欧州連合(EU)諸国やオーストラリアなど海外の事例を参考に議論する。義務化が必要と判断した場合は、国土交通省が道路運送車両法など関係法令の改正に着手する。
イモビライザーは、ICチップを内蔵した鍵から発せられる電子情報を認識することで、自動車のエンジンを始動させるシステムで盗難を防止する。専用の鍵でなければエンジンを動かすことができないため、自動車盗難の防止に効果があるとされている。
1990年代に装着が義務化された欧州では、イモビライザーの普及率はほぼ100%で、導入後の自動車盗はピーク時のほぼ半分に減少した。日本でも高級車を中心に普及しているが、平成25年の日本自動車工業会の調査によると、国内向けに生産された180車種のうち、標準装着や一部装着の車種は158車種にとどまっている。ただ、イモビライザーの義務化は自動車価格の上昇につながるため自動車業界や利用者の意見を広く聞き、イモビライザーによる盗難防止の費用対効果も含めて慎重に検討する。
イモビライザーの義務化は日本損害保険協会が内閣府の規制改革会議に要望し、同会議が国交省に検討を要請していた。