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針路を聞く 聖心女子大学・北村和夫副学長

 ■学部を改編、キャンパスも一新へ 「リベラル・アーツ」の伝統生かす

 聖心女子大学が、大きく変貌する。学部の改編で63年ぶりに新学科を創設。幼稚園・小学校の教員養成課程は定員を倍増した。定評あるリベラル・アーツ教育をはぐくむキャンパス施設も一新する計画が進行中だ。伝統の「聖心スピリット」に新たな息吹を吹き込む北村和夫副学長に聞いた。(平山一城)

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 --今春の卒業生も、就職決定率が良かったようですね

 「大学院や海外留学などの進学組をのぞき希望者の98%、きわめて高い数字です。日本で最初の新制女子大学の一つという伝統校であることや、専門ばかりでなく幅広い学びと、学校生活をとおして品位ある人間性と実行力が培われてきたことが評価されてのことでしょう。今年も多くの新入生を迎えて、新たなスタートです」

 --「新しい」聖心が始まりました、と大学案内に…

 「時代の要請に応えるという趣旨で、半世紀以上続いた歴史社会学科から、史学科、人間関係学科、国際交流学科を、教育学科から心理学科を独立させ、従来の英語英文学科、日本語日本文学科、哲学科とあわせて8学科体制としました。これまでは、新設学科はいずれも『専攻』でしたが、教員組織、カリキュラムが充実し、『学科』にふさわしい体系性と奥行きを備えたと自負しています」

 「学科別の募集をせず、1年次は全員が基礎課程で学び、2年次から各学科の専攻課程に進むという独自の教育システムを堅持しています。これにより特に1年次には人文科学から社会科学まで多様な学問分野をもつ専攻課程の授業科目に触れて視野を広め、2年次以上でも新しい副専攻制度を活用して自由に、創造的に学ぶことができます。社会の急速な変化に対応し、人々と協力して生き抜く力が求められる今こそ、このような真の教養教育、すなわちリベラル・アーツ教育の伝統が生きるのです」

 --独自のカラーですね

 「聖心女子大学は2018年で70周年を迎えます。しかしさらに歴史をさかのぼれば、1800年フランスで誕生したカトリックの女子修道会、聖心会を設立母体としており、200年以上の歴史を有しています」

 「聖心女子大学が各方面で活躍する卒業生を輩出していることはよく知られているところです。お嬢様大学というイメージが先行しがちですが、実社会においては人柄や思考力、判断力、責任感などに高い評価を頂戴し、なかでも、幼稚園や小学校では『聖心出身の先生は信頼できる』と引く手あまたです。教育学科の初等教育学専攻の定員を倍増した背景には、そうした実績があるのです。教育界の他にも企業はもちろん、国際機関、開発援助、地域貢献、芸術活動、マスコミ、弁護士など第一線で活躍する卒業生を紹介するパンフレット『7Stories』をオープンキャンパスなどで配ると、その人材の多彩さに高校生たちも驚きの目を見張るほどです」

 --施設整備の改修とは?

 「格式を感じさせる建物群は、キャンパスを趣のあるものにしてくれており学生の情操教育にも役立っていますが、半面、老朽化も散見されます。まず、入室希望者が殺到する2棟の寮を建て替え、定員も240人から350人に増やし、外国人留学生も入れて国際学寮としたい。中心のマリアンホールや聖堂は改修・保存に努め、1号館や2号館、図書館は先端機能を持つものへの新築・新装を検討中です。聖心女子大学の建学の精神は、一人一人の人間をかけがえのない存在として愛するキリストの聖心(みこころ)に学び、自ら求めた学業を修め、その成果をもって社会との関わりを深める、ことにあります。この志を大切に、『一人一人の』学生たちが存分に可能性を発揮できるよう施設も充実していきます」

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【プロフィル】北村和夫

 きたむら・かずお 東京大学教育学部卒、同大学院教育学研究科博士課程満期退学。聖心女子大学専任講師、助教授を経て、1999年教授。2011年10月から現職。64歳。

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