正論

中露「蜜月」戦術に惑わされるな 北海道大学名誉教授・木村汎

 もしそうだとすると、原油価格が14年後半以降約2分の1にまで急落している今日、中国側がガス価格の再交渉を要求しておかしくない理屈になろう。だが、ガス価格の変動だけが、その後両プロジェクトの実施を阻んでいる理由なのではない。成約の見せかけにもかかわらず、実は次の点に関してももめているのだ。例えばパイプラインの建設、パイプラインが通過する地域のインフラ整備の費用を、一体どのような割合で中露それぞれが分担するのか。

 中露間の協定に見られる建前と実態の乖離(かいり)がわれわれに改めて与える教訓はシンプルなものである。ロシアや中国が発表する声明は政治的PR目的のために粉飾されがちなので、過大評価する間違いを犯してはならぬこと。この一言に尽きる。中露関係が「蜜月」関係に入ったなどと解釈するのは、厳に禁物といえよう。(きむら ひろし)