正論

中露「蜜月」戦術に惑わされるな 北海道大学名誉教授・木村汎

 というのも、鳴り物入りで喧伝(けんでん)されたこれらのプロジェクトは、その後、一向に実践へ向けて動き出していないからである。それどころか、今年3月になると、ロシア側からは次のような情報すら漏れ聞こえてくるようになった。すなわち、「東ルート」も「西ルート」も共にパイプラインの建設が見送られている。仮に将来敷設されるにしても、規模の小さい「西ルート」からであろう、と。

協定の建前と実態の乖離

 中露間で「世紀の大プロジェクト」と喧伝された天然ガス合意がその後中ぶらりんとなった理由の一つとして、原油安を指摘することは、おそらく間違っていないだろう。というのも、天然ガスの値段は、石油のそれと密接に連動しているからだ。14年に中露両国が合意したガス価格は公表されていないものの、どうやら千立方メートル当たり350ドルと推測される。