正論

中露「蜜月」戦術に惑わされるな 北海道大学名誉教授・木村汎

喧伝されたプロジェクト

 モスクワと北京が最近行った「パカズーハ」の典型例として、中露間のエネルギー協力について触れる必要があろう。

 ロシアと中国は、2014年に天然ガスをめぐる超大型プロジェクトを2件も締結した。一つは「シベリアの力」、もしくは簡単に「東ルート」と呼ばれるもの。東シベリアから中国向けパイプラインを建設し、年間380億立方メートルのガスを30年間にわたって中国へ供給する。もう一つは「アルタイ」もしくは「西ルート」と呼ばれるパイプラインの敷設。西シベリア産のガスを年間300億立方メートル、30年間中国に提供する。

 中露は、「東ルート」プロジェクトについての合意文書を14年5月に上海で、「西ルート」にかんするそれを11月に北京で、それぞれ調印した。両調印式に出席したプーチン大統領はこれらの合意を中露関係史における「画期的で」「最大の契約」であると絶賛した。ところが大統領の言葉は、中露間の結束を対外的に誇示せんがために意図的になされた過大表現に他ならなかった。