【ワシントン=加納宏幸】米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(67)が、女性初の米大統領の座に再挑戦すると表明した。クリントン氏は出馬表明でオバマ大統領の「中間層重視」路線を継承する立場を明確にし、党内リベラル層からの「クリントン夫妻はウォール街(金融業界)寄り」との批判の打ち消しを図るなど、まずは支持基盤固めを徹底させる姿勢を打ち出した。
「皆様からの票を獲得するために出発します。この旅に加わってください」
インターネット動画でこう訴えたクリントン氏が党の候補者指名を勝ち取るには、若者や女性、黒人や中南米などの人種的少数派に加え、党の伝統的支持基盤であるリベラル層を「旅」に加わらせる必要がある。
クリントン氏が「中間層重視」を強調するのは、夫のクリントン元大統領と一緒に行っている慈善活動が、リベラル層から「金融業界や資産家などの富裕層に依存している」と批判を浴びているためでもある。
リベラル層は2008年のリーマン・ショック以降、「反ウォール街」の姿勢を強めてきた。本人は出馬を否定しているが、民主党支持者の間では、ウォール街批判で注目されたエリザベス・ウォーレン上院議員を推す動きもある。
このため、クリントン陣営は富裕層から選挙資金を集めるために開く大規模な集会を当面は控え、有権者と膝詰めで対話する選挙運動を進めていく考えだ。