浪速風

物語は引き継がれた

ゴルフの祭典マスターズは特別な大会である。4大メジャーで唯一、同じコースで開催される。「球聖」ボビー・ジョーンズが創始し、条件をクリアしたマスター(名手)たちが招待される。世界中のゴルファーが憧れる舞台で、松山英樹選手がいずれ優勝を予感させる活躍を見せてくれた。

▶その陰で一人の名選手がマスターズを去った。1984、95年と2度優勝した63歳のベン・クレンショーである。とくに95年は、学生時代からの恩師で日本でも著書「奇跡のゴルフレッスン」で知られるハービー・ペニック氏が大会直前に死去。ウイニングパットを決めて両手で顔を覆う姿が感動を呼んだ。

▶最後の大会は予選落ちだったが、最終ホールではパトロンと呼ばれる観客が総立ちで卒業を見送った。そしてクレンショーが目をかけてきた同じテキサス出身のジョーダン・スピース選手が史上2番目の若さで初優勝した。こうして物語は紡がれる。だからゴルフは面白い。