湯浅博の世界読解

歴史認識は余計だ…注目の安倍首相「米議会演説」、中露に強固な関係を誇示せよ

あれから半世紀を経たいま、オバマ政権と米議会は安倍首相に何を期待しているのだろう。池田首相の場合は、岸前首相の築いた新安保条約に従って米軍駐留を確認するだけでよかった。しかし、安倍首相が向かう米国のいまは違う。

米国の覇権に陰りが出始め、拡張主義を復活させたロシアと、アジアの海洋覇権を目指す中国がそれぞれ戦後秩序に挑戦している。安倍訪米は歴史の転換点で行われるといえる。

とくに中国は、地域覇権国として国際秩序を塗り替えようとする。南シナ海の岩礁を人工島にかえ、滑走路や港を造成しつつある。昨年は日米から「力による現状変更」の批判を受け、東南アジアが結束をみせたことから軌道修正を迫られた。今はひたすら静かに事を運び、国際社会が騒ぐ前の既成事実化を狙う。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有で争う日本に対しては、今年が戦後70年の節目であることから歴史戦で対中批判の動きを封じる。不平がくすぶる東南アジアは道路、鉄道建設の資金を融資するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟に誘い込んだ。「中華の磁場」に英仏独まで吸い寄せたのは、ヒョウタンから駒であろう。

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