兵庫・宍粟の岸本さん、イチロー選手のグラブ製作 「素晴らしいプレー楽しみ」

 米国メジャーリーグベースボール(MLB)が6日(日本時間7日)に開幕し、フロリダ・マーリンズのイチロー外野手(41)も開幕戦に代打出場し、スタートを切った。イチロー選手が使用するグラブ製作を手がける「ミズノテクニクス波賀工場」(宍粟市波賀町安賀)のグラブ製作職人、岸本耕作さん(57)は「形、重量などはここ数年同じものを作っている。これまで同様の素晴らしいプレーが楽しみ」とエールを送った。

 同工場は日本のプロ野球やMLBで活躍する選手のグラブを作っており、岸本さんはイチロー選手以外にも元ヤクルト・宮本慎也内野手や巨人・井端弘和選手ら、守備の名手といわれる選手たちのグラブを数多く手がけた。

 岸本さんとイチロー選手との出合いは平成18年1月。グラブ作りの「名人」と称されたミズノの元グラブ製作職人、坪田信義さんから担当を引き継ぐことになり、シーズン前に試作品6個を手渡した。だが、手に伝わる感触などの違和感を理由に1つも受け取ってもらえず、その年は結局、坪田さんが作ったグラブが使われた。

 岸本さんは、そこから奮起。皮の型どりや裁縫など研究を重ね、いくつものグラブを製作した。試行錯誤のうち、イチロー選手は翌19年7月の米オールスター戦で初めて岸本さんのグラブを使い、以降は使い続けているという。

 「正直、最初に手渡したものと現在のもので、どちらがどのように良いのかは、私には説明がつかない。ただ、ひとつ言えるのは、グラブ職人にも『格』があり、イチローさんはどんな人間がグラブを作っているのかを見ているのだと思う」と岸本さん。試作品を何度突き返されても、あきらめず作り続けた姿勢が認められたようだ。

 イチロー選手は22年までMLBのゴールドグラブ賞を計10度受賞。今季は代打や途中出場が多くなりそうだが、岸本さんは「ゴールドグラブ賞獲得は私にとっても大きな喜び」と久しぶりの守備での「勲章」獲得を祈っている。

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