樹齢300~400年とされる奈良県宇陀市室生の西光寺のシダレザクラで枝の一部が枯れ、衰えが目立ってきたことから、樹木医が約2カ月がかりで根元の土を入れ替えるなど「治療」を行った。以前に比べて花は少なくなったが現在ほぼ満開となっており、地元の人たちは「これからも大事にしていきたい」としている。
西光寺は室生寺の近くにあり、天正8(1580)年の創建。高さ約10メートルで、ピンク色の花を付けるシダレザクラ(別名・城之山桜)は有名で、大野寺(同市)の桜の「親桜(親木)」ともいわれる。
地元の人たちが大切に管理してきたが、枝の一部が枯れるなど、衰えが目立ってきたことから昨年5月、室生寺で桜の治療にあたっている大阪府富田林市の「さつき造園」社長の樹木医、塚本昭宏さん(48)に治療を依頼した。
塚本さんが調べたところ、根の周辺が粘土に覆われているため、空気や水の通りが悪くなっていることが判明。今年2~3月、土を入れ替えるなどの「治療」を施した。塚本さんは「空気や水の通りが悪く、根が窒息状態になっていた。2~3年は治療が必要だが、うまくいけば樹齢の倍は生きられると思う」と話している。
西光寺のシダレザクラは現在ほぼ満開。強い雨や風などの影響を受けなければ、週末ごろまでは花が楽しめそうという。
地元の菅間出地区の自治会長、菅間輝男さん(73)は「地区の人たちで大切に守ってきた桜。これからも大事にして、長生きしてほしい」と話している。