平成28年春に卒業予定の学生を対象にした就職活動が前年から3カ月遅れとなる今年3月に解禁され、正式内定は10月に据え置かれたことから、学生、企業双方にとって短期決戦の様相を呈している。景気回復に伴い新卒者の採用を増やす大手企業が相次ぐ中、中堅・中小企業は、大手志向の強い学生らを取り込もうと工夫を凝らす。焼肉を食べながらの採用説明会を開いたり、市場シェア首位の製品を持つ企業が集まる合同イベントを開いたりと、ユニークな試みが活発化している。(栗井裕美子)
コンパの雰囲気で
就活解禁から間もない3月19日の夜、大阪市北区の焼肉店に、中小企業4社の経営者と学生約20人が集まった。就職支援会社「アドヴァンテージ」(横浜市)が主催した「焼肉採用」説明会の参加者だ。
学生は私服で、履歴書は不要。支払いは会社負担で、焼肉を食べて酒も飲みながら、ざっくばらんに経営者から話を聞くスタイルだ。くじ引きと相性占いでグループに分かれ、コンパのようなくだけた雰囲気が約3時間にわたり続いた。
一見、学生の人気取りのようだが、そこには本音を引き出すためのしたたかな狙いがある。