■高効率の仕組みがあった
進化論のルーツは古代ギリシャのアナクシマンドロスまで遡(さかのぼ)る。しかし議論として沸騰し始めたのは19世紀のチャールズ・ダーウィンからだ。
以来、進化論は多くの壁にぶち当たりながらも、その都度乗り越えてきた。たとえば、地球の年齢についてだ。
ダーウィン存命の頃、地球の年齢はたった2000万年とされ、彼を大いに悩ませた。進化のための時間が足りないのだ。しかし20世紀に入り、放射性元素が崩壊する過程で熱を放つことが発見されるなどし、地球が冷える一方で温められていることがわかった。地球の年齢は延長され、45億年に、生命の誕生については38億年前とされた。
それでもまだ、時間が足りないのでは、という指摘がある。
「いや、遺伝子に起きるランダムな突然変異と、それにかかる淘汰(とうた)によって進化が起きることを実感できるようになれば、それで十分だと理解できるのだ」とほとんどの進化論者は主張してきた。
しかし本書の著者はこれら進化論者の横っ面をひっぱたく。こういう考えはダーウィン以来唱えられてきた「念仏」にすぎず、古代ギリシャのアナクシマンドロスとさえ大差ない。こんな仕組みではまるで時間が足りないのだ、と。