アート

絵画と映像を越境…国内外から注目集める石田尚志の個展「渦まく光」

【アート】絵画と映像を越境…国内外から注目集める石田尚志の個展「渦まく光」
【アート】絵画と映像を越境…国内外から注目集める石田尚志の個展「渦まく光」
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 画家はふつう、自分が表現したいものを二次元の枠内に凝縮、固定させるために描くのだと思う。ところが石田尚志(たかし)(42)は、「描く」行為そのものに魅せられるタイプの画家であり、「動く絵」を追求し続ける映像作家だ。絵画と映像を越境し、国内外で注目を集めるアーティストの初の大規模個展「渦まく光」がいま、横浜美術館(横浜・みなとみらい)で開かれている。(黒沢綾子)

描いている時間、経験を表現

 生まれては絡まり合って渦を巻き、増殖する抽象的な描線。「動く絵」をシンプルに体感できるのは、石田が20年来創り続けている「絵巻」シリーズだ。

 巻き紙の上に線を少しずつ描いては、定点カメラでコマ撮りを繰り返す。そんな「ドローイング・アニメーション」の手法による映像に、原画の絵巻を組み合わせたインスタレーション。線のうねりが紙をつたって映像へと飛び込み、どこまでも伸びてゆく。

 東京に生まれ、芸術一家に育った石田は平成2年に慶応高校を中退後、沖縄の美術家、真喜志勉に師事。本格的に絵画に打ち込むうちに「絵の中に入りたいという欲望がわいて…。遠近法を壊し、抽象絵画に入っていった」と振り返る。何を描くかではなく、「描いている時間や経験そのものを表現したい。時間を描こうとすると、自然に映像メディアに行きついた」という。「動く絵」とは、時間を獲得した絵なのだ。

 際限のない、全体をつかみ切れない感覚は、音楽に接する経験にも通じると石田は考える。20代初めには音楽を聴きながら路上で描くパフォーマンスを展開。ひらひらと舞うような石田独特の描線は音楽的、舞踊的でもある。

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