在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の指示を受け、北朝鮮向けの農業用揚水ポンプ1500台分の資金として傘下団体から約4500万円を集めていたことが3日、分かった。複数の日朝関係者が明らかにした。北朝鮮に送金した上で、現地の企業がポンプを製造、調達することを検討している。北朝鮮への輸出入を全面禁止する日本政府独自の経済制裁に抵触するのを避ける対応で、制裁をすり抜けようとする実態が浮き彫りになった。
関係者によると、金第1書記は1月、「今年は農業、畜産、水産業を3大軸とする。食糧問題を解決すべきだ」として朝鮮総連に対し協力を指示した。これを受け、総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長は同月、ポンプを北朝鮮に送るための資金を供出するよう総連職員や傘下企業に求めた。職員や商工業者の中には、2月分の給料から割当資金が天引きされたケースがあったという。
朝鮮総連幹部らは、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席誕生記念日「太陽節」(4月15日)に合わせ訪朝する予定だ。その際にポンプの購入資金を北朝鮮に直接持ち込み、北朝鮮と総連傘下企業との合弁会社「金剛原動機」(元山(ウォンサン)市)に製造させることを検討している。同社は、経済産業省から大量破壊兵器の開発懸念が払拭されない外国企業としてリストアップされている。