話の肖像画

演出家・蜷川幸雄(5)演劇的闘争から海外公演に

〈生誕80年の今年、「ハムレット」のロンドン公演のほか、村上春樹さんの世界的ベストセラーが原作の舞台「海辺のカフカ」の、世界5都市でのツアーも控えている〉

英国で芝居をやるなら、シェークスピア。批判されようが何を言われようが、われわれが19世紀半ば、シェークスピアと出合い、どう悪戦苦闘してきたかを、日本の観客だけでなく、英国人に分かってほしい。

「カフカ」は、ぜひこれを世界の人に見てほしいと思うんです。村上さんの作品は、行間にあふれる言葉をビジュアル化するのがとても難しい。でもあれは自分でも、すごくよくできていると思うんです。大好きなんだよ。

〈透明な箱を使った、美しいセットで具現化された村上ワールド。透明感のある文体、現実と幻想とが交錯する作品世界を知る人間には、忘れられない舞台になった〉

あれはニューヨークに行ったとき、自然史博物館の中に、ガラスのディスプレーがあって、(生物の)骨ばかりが中に並んでいたんです。これはいつか使いたい、と思っていたら、村上さんの作品やるとき、あのビジュアルが真っ先に浮かんだ。あれを動かせばいいなって。舞台稽古を見ながら、ワクワクした。「いいなぁ。世界中ないぜ、こんな演劇」なんて言いながら見ていました。

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