民主党は国会に黒田総裁らを何度も呼び、生活必需品の高騰など金融緩和の弊害を厳しく問いただした。野党各党は「大企業や富裕層のみに恩恵がある」との批判も繰り返している。
国債を大量に買う金融緩和に対しては、エコノミストも「(国の借金を日銀が肩代わりする)財政ファイナンス」と副作用を懸念している。
脱デフレに「痛み」伴う
日本はバブル崩壊後、景気の長期低迷に見舞われ、「失われた20年」を過ごした。その間、地価が14年連続して低下するという世界でも類のない現象を経験。銀行は巨額の不良債権を抱えて金融システムは機能不全に陥った。
とくに、民主党政権の経済音痴ぶりに市場は失望。円相場は1ドル=75円台と戦後最高値を更新し、日経平均株価は1万円を割り込むなど迷走し続けた。
デフレを克服しようとすれば、当然痛みは発生する。大手メーカー幹部が「民主党政権時代より消費マインドは明らかに上昇してきた」と語るように、ようやく光明も見え始めた。
金融緩和にすべて反対していては民主党政権時代に逆戻りだ。「木を見て森を見ず」にならないようにすべきだ。(藤原章裕)