日銀は「企業や家計のデフレマインドの転換が遅れる恐れがある」として、昨年10月末に追加金融緩和に踏み切り、国債の年間購入量を50兆円から80兆円に増やした。
すると、再び円安が加速し、現在の円相場は1ドル=120円程度。日経平均株価も2万円目前と緩和スタート時(1万2634円)から6割弱も上昇した。
輸出関連企業の円建て収益は膨らみ、東証1部上場企業の27年3月期の最終利益は過去最高を更新する見通しだ。
大規模金融緩和で日本経済のムードが明るくなったのは確かだ。企業のデフレ心理もようやく溶け始めてきた点は評価されるべきだろう。
批判の大合唱
ところが、急ピッチの円安に対して、産業界からは「輸入物価の高騰を招く」と批判の声もわき上がった。さらに、追加緩和したにもかかわらず、原油安で物価の伸びは鈍化し、今年3~4月には下落に転じる可能性すら出てきた。
黒田総裁も3月の記者会見で、原油安について「一番の想定外」とこぼした。これほどの原油安は誰も予想できず、同情すべき余地はあろう。