この点を健康保険組合連合会(健保連)が公開討論会で指摘した。
健保連によると、例えば花粉症の患者が14日分の内服薬などを処方された場合、院内処方は計1500円(患者負担3割で450円)になる。ところが、院外処方では調剤基本料410円、薬剤服用歴管理指導料410円などが上積みされ、計3250円(患者負担3割で970円)。同じ薬をもらうのに、院内と院外で2倍超の価格差が生じているというのだ。
健保連はこのケースに基づき膨らむ医療費にも言及した。25年に全国の病院が発行した処方箋は約8億枚に上る。うち医薬分業率67%に基づき、院外で受け取る処方箋は約5億3000万枚。院外と院内の価格差を1500円で計算すれば、負担額は8000億円程度増えることになり、「これも医療費の伸びに影響していることは間違いない」と断じる。
患者の視点に立ってみても、医薬分業の推進によって負担は増えたが、それに見合った薬局のサービスを受けられているのか。内閣府の調査では「分業のメリットは何か」との質問に「特にない」が最多だった。日本薬剤師会や厚労省も門前薬局が乱立する現状は好ましいという認識はない。むしろ「本来の医薬分業の姿ではなく、皮肉にも経済原理が働きすぎてしまい、苦々しく思っているはず」(規制改革会議の委員)。