一方、医薬分業を促すため、国はこれまで調剤報酬の1つである「調剤基本料」を高めに設定するなどして、病院の外にある薬局の方がもうかるようにした。その結果、病院内に薬局を置く「院内処方」よりも、門前薬局による「院外処方」の方が調剤報酬が高くなった。さらに、患者が処方箋を持ってきやすいよう病院のそばに立地する「門前薬局」が乱立した。
業界では「調剤バブル」として有名な話がある。
関係者によると、25年に兵庫県内の山林に、病床数340の公立病院を建設する際、大手薬局チェーン店などが病院前の土地を「地価の1000倍」(業界関係者)の計14億円で自治体から購入した。
病院全体の用地関連事業費の14億円に匹敵し、「調剤バブル」とささやかれた。初期投資がかさんでも、高齢化社会が進む中、病院から処方箋を持ってくる患者は絶えない。十数年後に「元を取る」ことができるというのだ。
門前薬局の乱立で医薬分業率は67%(25年度)まで伸びた。各地の薬局は5万5000店もあり、コンビニの出店数と肩を並べるほどに成長した。一方で院外処方で薬を受け取る患者負担は増える。