ニュースの断面

アベノミクス効果は中小企業に波及するか

 平成27年春闘で主要な大企業が軒並み過去最高水準の賃上げに踏み切った。アベノミクスの恩恵を感じる明るいニュースだが、関西の中小企業の大半はまだまだ景気回復を感じられない状況が続いている。

 よくアベノミクスの波及効果は、経済学の「トリクルダウン理論」で説明される。トリクルダウンは英語で「浸透する」といった意味で、シャンパンタワーのように富裕層をさらに富ませるとその恩恵が下層にも広がるという考え方だ。

 この説明でいくと、中小企業に恩恵が回るのは大企業から少し時間を置いた後ということになるが、中小企業には悲観的な見方が多い。東大阪市のメーカーの社長は「大企業が利潤を内部留保や海外への投資に回せば下請けの中小企業は潤わない」と気をもむ。

 また、大企業先行の景気回復は思わぬ副作用も生み出した。中小企業では給与のいい大企業へと転職する従業員が相次いでいる。

 大阪市のあるメーカーでは昨年3月、約10人の従業員のうち職人3人が辞めて生産現場が回らなくなり経営危機に陥ったという。今年も賃上げするが、それは人材流出を防ぐためで、「好景気といわれるが、(同社にとって)今はまだ迷惑でしかない」と話す。

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