「提出されたあるレポートの文章の約75%が、インターネット上に公開されている文章からの引き写しであることが判明しました」-。東京大学がホームページ(HP)などで前期日程試験の合格者を発表した10日、同じHP内で、このような告知が掲載された。東大生がそのような行為を行うとは信じ難いかもしれないが、大学生のレポート作成ではいわゆるコピペが多用されるのが現実で、対策ソフトを導入して検知しようとする大学もある。STAP細胞問題などの反省も踏まえ、教育・研究の現場では論文不正を防ごうという真摯な取り組みが続けられている。(石井那納子)
「東大生の7割以上がコピペ」は誤解
「期末レポートにおける不正行為について」と題された告知は、東大教養学部後期課程(3~4年生)の学生の一人が提出したリポートが、他人の文章を無断借用し、コピーペースト(切り張り)して書かれたものだったと伝えた。
報道を知った人の中には「教養学部の学生の7割以上がコピペしている」と混同するケースが続出。誤解が解けた後も、ネット上の匿名掲示板では「(コピペをしている学生は)見つかっていないだけで、もっと多くいるはず」「東大生も安易な方法を選ぶんだな」などの書き込みが相次ぎ、世間の耳目を集めた。
東大の広報担当によると「ネットに学生の不正を公開したのは今回が初めて」といい、特例措置をとった理由については「個人の特定に繋がる恐れがある」として明かしていない。