山口・防府に楫取素彦・文夫妻の銅像 地味な2人知名度アップを 

除幕式でお披露目された楫取素彦と文の銅像。視線の先には貞宮遙拝所がある=山口県防府市の防府天満宮
除幕式でお披露目された楫取素彦と文の銅像。視線の先には貞宮遙拝所がある=山口県防府市の防府天満宮

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の主役で吉田松陰の妹の文(ふみ)と、準主役で文の再婚相手である楫取(かとり)素彦。松陰や久坂玄瑞、高杉晋作など幕末の逸材を多数輩出した長州藩においては、かなり地味な存在だ。楫取夫妻の終焉(しゅうえん)の地、山口県防府市では、大河ドラマを機に2人の知名度アップを図るキャンペーンが展開されており、29日には同市の防府天満宮に銅像が初めて完成した。(将口泰浩)

                  ◇

 楫取素彦は文政12(1829)年、長州藩医の松島家の次男として萩に生まれ、小田村家の養子となって小田村伊之助と名乗る。後に幕府の追及を逃れるため、藩命で「楫取」に改名した。藩主の毛利敬親の側近として薩長同盟を推進し、維新を迎える。松陰が「正直者すぎて困る」と評すほどの、まさに「至誠の人」だった。

 維新後、群馬県の初代県令(現在の県知事)に任じられ、蚕糸業の発展などに尽くす。だが、明治14年に最初の妻を亡くし、16年、文と再婚した。文も、夫である松陰門下の久坂玄瑞を明治維新期の禁門の変で亡くしていた。

 再婚した楫取と文は明治26年、防府に移住し、2人ともここで亡くなった。大河ドラマでは、文を井上真央さん、楫取を大沢たかおさんが演じている。

 松陰の志を受け継ぎ、大きな功績を残した楫取だが、知名度は低い。大河ドラマは地味な夫妻の知名度アップ、そして縁の深い防府をアピールするのに絶好の機会だ。このため、地元のライオンズクラブが2人を顕彰する銅像の建立を計画し、29日、除幕式を迎えた。

 銅像は、防府天満宮にある貞宮遙拝所のそばに建つ。楫取は明治天皇皇女、貞宮多喜子内親王の御養育主任も務めていたが、内親王は3歳で夭逝。楫取は防府天満宮に遺品を奉納し、遙拝所が建った。楫取夫妻の銅像は優しい表情で遙拝所を見守っている。

 除幕式には山口県の村岡嗣政知事が出席し、「県内外から多くの観光客に足を運んでいただきたい。銅像建立を契機に地域全体が元気になってほしい」とあいさつした。

 さらなる知名度アップを目指し、防府市は楫取夫妻の好物「卵かけご飯」キャンペーンを行っている。

 楫取に関する数少ない資料の1つに、フグやウニと並び「卵かけ」が好物だという記述があった。このため夫妻の好物として売り出し、現在、市内13店舗で「しらす」「タコライス風」などの卵かけご飯を提供している。

 松浦正人市長は「これから大河ドラマに防府が登場する。その前に舞台を訪れ歴史を体験すれば、いっそう楽しめるでしょう。お待ちしています」と語った。

会員限定記事会員サービス詳細