話の肖像画

女子高校生サポートセンターColabo代表 仁藤夢乃(5)温かいご飯とシャワーがあれば

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〈日本のJK(女子高生)ビジネスに向けられる世界の目は厳しい。米国務省が昨年6月に出した人身取引に関する年次報告書は「日本では、少女たちが性風俗産業に容易に取りこまれている」と指摘している〉

今年1月、在日アメリカ大使館で米国務省の調査に応じました。冒頭に「少女が自主的に売春しているという考え方は受けつけない」と明言されました。少女が売春しなくていいように守る責任が大人にあるからです。そもそも大人の需要がなければ少女の供給もない。買いたい大人の需要に合わせ、売りたい大人が少女たちを商品化して供給しているのが実態です。

〈Colaboがこれまで40回以上開催してきた「夜の街歩きスタディーツアー」には、警察官や教師、児童相談所職員ら200人以上が参加している。そこでは、少女たちが路上に並び、品定めをする男性に声をかけている〉

ありとあらゆるタイプの大人が何も問題と思わず、「どこまでできるの?」「裏オプ(裏オプション)あるの?」と少女に聞いています。「男とはそういうもの。仕方ないよ」とよく言われますが、多くの男性は路上で少女を買わないでしょう。人間にとって性は文化であり、学んでいくものだと思います。

〈難民高校生やJKビジネスの実態を知ってもらおうと、全国各地で行った講演は約110回。参加者は1万3千人を超える〉

JKビジネスの大人たちは少女たちを取りこむための努力を惜しみません。スマホを持ち、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をやる。若者の流行を熟知し、若者言葉を身につけている。スカウトは、街で少女たちに何度無視されても声をかけ続けます。「割り切り」と呼ばれる援助交際を求める大人は、女子高生から「うざい」「きもい」と言われてもめげません。大人たちから「支援したいけど子供たちが来てくれない」という言葉も聞きます。本気で子供たちとつながりたいなら裏社会に負けないくらい勉強し、粘り強く声をかけなければ…。

〈仁藤さんとの出会いがきっかけで立ち直り、一緒に活動するようになった少女もいる。サポーターも増え、支援の輪が広がっている〉

17歳の少女が15歳の少女の相談に乗っています。私もあと5年で三十路。やはり年が近い方が話しやすいでしょう。いま、居場所がなくなった子供たちのためのシェルター(一時避難施設)をつくれないかと考えています。公的な施設は、携帯電話を取り上げたりして規則が厳しい。それができるなら、難民化したりしないのです。結果、街で援交おじさんを見つけ、ホテルに泊まる選択肢を選んでしまう。子供たちが自ら駆け込みたくなるようなシェルターをつくりたい。温かいご飯とシャワーがあれば、子供たちをもう一度社会につなげる場となるはずです。(聞き手 池田証志)

=次回は演出家の蜷川幸雄さん

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