経済インサイド

「馬鹿げた計画」酷評「宇宙太陽光発電」 NASAが手を引いても開発続ける「技術立国日本」の意地

 確かにSSPSの研究の中では無線で送電する実証実験が成功しており、副産物的な応用技術の実用化にもつながるとの期待がある。「例えば将来は高圧鉄塔や電線を必要とせず、広域に送電できるかもしれない」と経産省の担当者は明かす。

 とはいえ、SSPSの実現可能性については「確固たる論理的な説明はできないが、SSPSの将来性を訴える研究者も多いことは確か」などと答えるのがやっと。流石に政府も現状の計画のままでSSPSが実現するのは困難と考えてか、昨年秋からSSPS実現に向けたロードマップの作成に乗り出した。最新の技術要素なども考慮した上で実用化の目標なども見直し、来年度にはロードマップの骨格案をまとめるつもりだが、詰めるべき課題は山積している。

 今後はマイクロ波を地上に送る際、航空機や電子機器のほか、生物に影響がないか安全性の検証なども必要となるだろう。次から次へとわき出る難題を前に、専門家の間では実現は2040~50年代に後倒しされるとの見通しも濃厚になりつつある。

 ただ、ロングスパンになろうとも、研究開発を続けていないと永遠に「宇宙太陽光発電」は日の目を見ない。将来、「あのとき、研究を続けていてよかった」と思える日が来るか。「技術立国日本」の力が試されているともいえそうだ。

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