安倍晋三首相は、公正感に欠けるこの事態を看過するつもりなのか。
原子力規制委員会が、同委の下にある有識者会合のまとめた日本原子力発電・敦賀発電所(福井県)敷地内の破砕帯に関する評価書を受理した件である。
評価書は、同発電所2号機(加圧水型・116万キロワット)の原子炉建屋の下の破砕帯を「活断層」と判断する内容だ。原発の新規制基準では、廃炉を意味する評価である。
問題なのは、作成の手続きや、活断層と結論づけた検証作業の適正さに重大な疑問を残したまま、評価書が受理されたことだ。
敦賀発電所の敷地内には、原子炉建屋の東方に浦底断層という活断層が走っている。民主党政権時代、そこから枝分かれしているように見える当該破砕帯も活断層ではないか、と疑われたことから、他の5発電所とともに重点調査の対象に選ばれた。
敦賀発電所の破砕帯に関する有識者の評価会合などは平成24年12月以来、12回開かれている。日本原電は活断層ではないことの論拠を示そうとしたが、説明を妨げられる場面が繰り返されてきた。