太地町が民間に売却の国民宿舎「白鯨」再スタート

 ハリハリ鍋や刺し身、竜田揚げ-。クジラ料理を存分に楽しめる太地町の町営国民宿舎「白鯨」が、那智勝浦町のビル総合メンテナンス会社「山永サービス」に売却され、4月1日から「いさなの宿『白鯨』」として新しくスタートすることになった。民間のアイデアを生かしながら、クジラの町のPRへ期待がかかる。

 「白鯨」は昭和42年5月にオープンし、鉄筋コンクリート5階建てで延べ約2300平方メートル、客室が27部屋あり最大126人が宿泊できる。2年後には町立くじらの博物館が開館し、捕鯨だけでなく観光の町としての拠点になった。

 支配人は、町産業建設課長が兼務。久保亨一課長は「クジラ料理を存分に楽しめるだけでなく、客室から海が一望できリピーターも多い」と話す。昭和57年の国際捕鯨委員会(IWC)で商業捕鯨の停止が採択されて以降は、南氷洋や地元などで水揚げされたクジラ料理が食べられるとあって、ファンに人気があった。

 平成8年度には最高の約1万5700人の宿泊客が訪れ、11年度には約1万2600人が宿泊したものの、食事で利用する客が思うように伸びなかったことなどから赤字に転落。同町の観光客数も、同8年の45万人から11年には36万人に減少。町は20年度から24年度まで助成金として約8500万円を拠出したが、宿泊客数は7千~8千人程度に落ち込んだままだった。

 町は昨年9月、10年間は現在と同様の形態で営業することなどを条件に、売却先を公募。同社が約1350万円で買い取った。施設の名称は「白鯨」を残しながら、古くからクジラを意味する言葉の「いさな」を加えた。3月は一時休業して内装などの改修を進め、4月1日から運営することになった。

 久保課長は「ファンの多い愛される施設だったので、民間のアイデアを入れてもらいながら、さらに愛される施設にしていただければ」と話した。

 4月から支配人となる同社白鯨準備室の瓜田章さん(42)は「人気のクジラ料理を広く食べに来ていただくとともに、喫茶コーナーや温泉など地域の人にいっそう親しまれる施設にしていきたい」と意気込みを語った。

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