安倍晋三政権が目指す安全保障法制の整備が実現すれば、自衛隊は海外でより危険な任務に従事する可能性がある。政府は国連平和維持活動(PKO)や人道復興支援で、新たに治安維持や停戦監視も行えるようにする方針だ。これまでの施設整備や選挙監視を中心とした活動とは異なり、散発的な襲撃に遭わないとはかぎらない。
陸上自衛隊の軽装甲機動車は、こうした任務には欠かせない装備といえる。
軽くて小型の装甲車として開発され、平成14年度に部隊配備を開始。すでに約1700両が配備されており、隊員からは「ラブ」(LAV:Light Armored Vehicle)の愛称で親しまれる。時速100キロ以上で素早く移動でき、装甲で覆われているため小銃による攻撃にも一定程度耐えられるほか、5.56ミリ機銃弾や対戦車誘導弾も装備できる。
導入のきっかけとなったのは冷戦の終結だった。旧ソ連軍による着上陸侵攻を想定した戦車中心の対機甲戦重視の編成を見直し、ゲリラや特殊部隊に備えるため、装備をコンパクトにする流れの中で配備されたのがLAVだ。
「新たな脅威に対抗する意味で軽装甲機動車を来年度予算ではお願いしたい」
LAV導入直後の16年3月、当時の石破茂防衛庁長官は参院予算委員会で、日本に対する新たな脅威に備えるためLAVが不可欠であると力説した。