国際情勢分析

「鳩山クリミア訪問」露メディアはどう伝えたか…「日本の元首相」肩書きをプーチン政権に政治利用させた軽薄な「友愛」

 「政府として絶対に看過できない」-。3月中旬、3日間の日程でウクライナ南部クリミア半島へ訪れ、現地の要人と面会した鳩山由紀夫元首相の行動は連日、日本政府関係者から大きな非難を浴びた。弟の邦夫氏は「話にならない。いよいよ宇宙人になった」とも。折しも、ロシアがクリミアを併合してちょうど1年の時期。プーチン政権の統制下にあるロシアの主要メディアは、G7(主要7カ国)出身の大物が現地で併合の正当性や米国批判を繰り返したことを大きく伝え、政治宣伝として活用した。ウクライナ政府は「遺憾だ」と反発し、鳩山氏に対して「キエフに来て何万人もの避難民の話を聞いてほしい」と訴えた。(佐々木正明)

 ロシアの主要メディアは今月10日に、鳩山氏がクリミア入りした前後から「日本の元首相の訪問」を大々的に報じた。

 国営放送はトップニュース扱いで伝え、祖父一郎氏がソ連と国交を回復した1956年の日ソ共同宣言の主導者で、このことがきっかけで因縁が深まった鳩山家とロシアとの関係をクローズアップさせた。

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