【亀岡典子の恋する伝芸】名人に聞く 能楽観世流シテ方・大槻文蔵(上)幻の能を上演、三老女を完演…心伝える魅力と責任(1/3ページ) - 産経ニュース

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亀岡典子の恋する伝芸

名人に聞く 能楽観世流シテ方・大槻文蔵(上)幻の能を上演、三老女を完演…心伝える魅力と責任

インタビューに答える観世流シテ方、大槻文蔵さん=大阪市中央区の大槻能楽堂(恵守乾撮影)
インタビューに答える観世流シテ方、大槻文蔵さん=大阪市中央区の大槻能楽堂(恵守乾撮影)

 大阪の能楽界の第一人者であり、日本を代表する能楽師のひとり、観世流シテ方の大槻文蔵(おおつき・ぶんぞう)さん。大槻能楽堂(大阪市中央区)の当主としても意欲的な自主公演を企画し、クオリティーの高い舞台を提供し続けている。現代に生きる能を探求する文蔵さんに、能の魅力などを聞いた。(上の巻)

念願の「墨染櫻(すみぞめざくら)」上演

 --先日、大槻能楽堂で復曲能「墨染桜」を上演されましたね。文蔵先生の長年の念願だったとか

 文蔵 平成21(2009)年に喜多流の塩津哲生さんが復曲されたのを拝見して、大変趣(おもむき)のある、いい曲だなあと思っていました。ぜひ自分でもやってみたいと考えていましたのが、ようやく今年2月に実現しました。

 --私も舞台を拝見しましたが、とても詩情のある美しい能で、先生にぴったりだと思いました。先生は若いころから、復曲や新作に携わることが多いですよね。困難な作業だと思うのですが、どうしてあえて取り組まれているのでしょうか。

 文蔵 古典の曲というのは、生まれてから何百年も経って、さまざまな人の手を経て洗練され尽くしています。しかし復曲や新作は、詞章はもとより、節付(ふしづけ)や型付(かたづけ)など残っていないものは一から検討し、研究して作っていかねばならず、そういう作業をしていると、能の原初の姿が想像できたり、能の構造や作り方が明らかになってきたりします。復曲や新作は結果としてレパートリーを増やすことにつながりますが、能を研究する上でも大切なことだと思っています。

 --そういう作業を重ねられて、能に対する思いや一曲に対する考えが変わってきたということはありますか