秘録金正日(17)

先祖の出自は韓国南部…創り出された「白頭山出生」神話、金日成は「ここだ」と決めつけ

 旧ソ連極東地域で生まれたはずの金正日(キム・ジョンイル)の生誕地をめぐって、北朝鮮編纂(へんさん)の伝記『人民の指導者 金正日書記』に、母、金正淑(ジョンスク)とのこんなやり取りが描かれている。

 父の故郷、平壌郊外の万景台(マンギョンデ)に向かう支度をしている母親に、正日少年はこう尋ねたという。

 「お母さん、僕の故郷はどこ?」

 思いがけない質問にしばらく黙っていた正淑は「あなたの故郷が白頭山(ペクトゥサン)ではなく、どこだと思っているの」と真顔で聞き返した。

 「あなたの故郷は朝鮮で一番高い白頭山ですよ。白頭山には、天池があって、お父さんが、日本軍を散々な目にあわせたところです。あなたも大きくなったら行ってみなさい」

丸太小屋“復元”

 前後の文脈からすると、金正日が小学校低学年のときの会話とされる。白頭山は朝鮮民族の始祖に位置付けられる檀君が生まれた地とされ、神聖視されてきた。伝記はこう続ける。

 《幼い正日はこのときから白頭山を懐かしみ、学習帳には決まって「白頭山」という3文字を書き込み、いつも白頭山にそびえる将軍峰と天池を描いた》

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