話の肖像画

女子高校生サポートセンターColabo代表 仁藤夢乃(1)「難民高校生」救いたい

(宮崎裕士撮影)
(宮崎裕士撮影)

〈家庭にも学校にも居場所がなく、東京・渋谷などの繁華街をさまよう「難民高校生」の自立支援活動を行っている。夜の街を巡回したり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で声をかけたりして、社会とつながるきっかけをつくる。これまでに千人以上の少年少女と会話し、1年間に3千件を超える相談を受け付けている〉

親からの虐待やネグレクト(育児放棄)、家庭崩壊、いじめなどがきっかけとなり、困窮状態にある「難民化」した中高生がたくさんいます。特に女子高生(JK)は性的搾取の対象になりやすい。彼女たちのために「衣食住」と「関係性」を用意することが大事だと考え、東京都内の事務所で一緒にご飯を食べるだけでなく、その子にあったロールモデル(手本)となる大人と食卓を囲む機会を設けるようにしています。人気のある食事は、鍋料理やたこ焼き、お好み焼き…。みんなで作りながら食べられるものがいいようです。「鍋って家でできるんだ」「誕生日もクリスマス会も一度もやったことがなかった」と喜ぶ子もいます。

〈自身が代表を務める女子高校生サポートセンター「Colabo(コラボ)」は、東京・秋葉原で女子高生たちが路上に立って客引きをする「JKリフレ(個室マッサージ)」や「JKお散歩(デート)」の現状を視察する「夜の街歩きスタディーツアー」を開催している〉

JKビジネスの少女たちはほぼ百パーセント、大人から性的な誘いの声をかけられています。この異常な事態を社会に知ってほしくてツアーを始めました。家庭や学校に問題がなく、学業が優秀な子もいるし、東京だけでなく地方でも同じようなことが起きています。彼女たちの相談を受け始めて、性被害が多いことにも気づかされました。なぜ誰も気づいていなかったのか不思議でした。

〈居場所のない少女たちのリアル(現実)を伝えるために、全国各地で講演を行う。昨年、JKビジネスで働く少女たちの実態を報告する書籍「女子高生の裏社会」を上梓(じょうし)した〉

私も難民高校生でした。同じように悩んでいる仲間がたくさんいたのに、手を差し伸べてくるのは子供を利用しようとする大人たちだけ。なぜ少女たちが街に立っているのかを知ってほしい。ブランド品欲しさに売春をしているかのようにいう人もいるけど、実態は違います。彼女たちには、それぞれ事情があるのです。

例えば、親が給食費を与えてくれない女子中学生。先生から同級生の前で催促され、やや知的障害があるためいじめられていて頼れる人もいませんでした。中学生は原則的に働くことができません。インターネットで「誰でもできる安全な仕事」を見つけ、自分が何をやっているか分からないまま売春させられていました。海外で貧困から搾取される子供たちは哀れまれるのに、日本の子供の場合は「自己責任」になってしまう。日本でも恵まれた環境にいる子供たちばかりではありません。そんな子供たちがいることを知ってほしくて本を書きました。(聞き手 池田証志)

【プロフィル】仁藤夢乃

にとう・ゆめの 平成元年、東京都生まれ。中学生の頃から「渋谷ギャル」生活を送り、高校2年生で中退。高卒認定試験に合格し、明治学院大に進学した。23年、東日本大震災の復興を支援する団体「Colabo」を設立。現在は女子高校生サポートセンターとして「居場所のない高校生」の問題を社会に発信するとともに自立を支援している。著書に「難民高校生」(英治出版)、「女子高生の裏社会」(光文社新書)。

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