栃木この人

「短足おじさんの会」代表世話人・ん太郎さん(62)

 ■養護施設の子供の「夢」応援

 プロボクサーから美容師に転身という異色の経歴が示す通り、還暦過ぎとは思えないシャープな体形。考案した独自のカット法「2丁はさみ」をトレードマークに、国内外でヘアショーに出演するなど実績を築く一方、長年ライフワークにしているのが、子供たちの「夢」を育む活動だ。

 非行に走った少年らに自宅ガレージのジムでボクシングを教え、カット技術を伝授することも。東日本大震災で肉親を失った子供の支援や、3年ほど前からはさくら市にある児童養護施設で月2回、ボクシングや美容の指導を続けている。

 さまざまな理由で親の保護が受けられない子供たちが集まる児童養護施設。原則18歳未満対象で、入所者は高校を卒業すると施設を出て、自らの力で生活していかなくてはならない。

 「施設の中はいろいろな意味で守られすぎている。彼ら、彼女らが社会に出てから戦うための武器が必要だと思った」。賛同者とともに世話人会をつくり、約1年半の準備期間を経て支援組織「短足おじさんの会」を発足。陶芸家や福祉施設の施設長、国会議員…。設立発起人には多士済々な16人が名を連ねた。

 ユニークな名称は、顔の見えない匿名の支援をする「あしながおじさん」とは対照的に、子供たちに相対し、体当たりで取り組むことを表した。子供たちが関心を抱く職種の人々から仕事内容や魅力を聞く「カップリング交流」や、将来性を持つ若者発掘のため、アスリートや芸術家、ジャーナリストらと接点をつくる「特技応援活動」などを実施していく。

 「自分が教えられるのはボクシングと美容。それぞれの職業やネットワークを活用し、子供たちが夢を持ち、努力するきっかけ作りができれば」。小学生、中学生、高校生と各世代の支援担当を決め、施設に出向いて子供らを招待するなどして交流。早い段階で職業に対する意識を持たせ、社会に出たときの武器になる技能を身につける手助けをするのが目的だ。

 賛同者も募集中。「子供たちにおせっかいを焼いてみようという人にぜひ参加してほしい。(おじさんの会だが)もちろん、女性も大歓迎です」。自らの活動を「売名行為」と冗談めかして表現するが、その情熱は紛れもなく本物だ。(原川真太郎)

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【プロフィル】ん太郎

 〈んたろう〉本名・荒川憲司。昭和27年、市貝町生まれ。真岡高校在学中にプロボクサーとしてデビューし10戦(8勝2敗)。引退後は美容師として活躍し、現在は宇都宮市内2カ所で美容室を経営。青少年の健全育成活動にも力を注ぐ。「短足おじさんの会」の問い合わせは、同会事務局(電)050・3156・7061(留守録音方式)、Eメールgohmachan@pl-fax.com

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